全国共通課題では、
1)疾病対策:
初めに日栽協が進めたウイルス性神経壊死症(VNN,Viral Nervous Necrosis)の
防御技術開発の現状と今年度から建設を開
始したウイルスのための隔離飼育施設の状況について説
明があった。これからウイルスフリーの親魚育成を目指
すことになるが、親魚数が限られるので遺伝子の多様性
の問題が起こることが考えられる。VNNについてはシ
マアジでの検査手法はできたが、他の魚種に応用できる
かどうかを検討する必要があるとの指摘があった。
つづいてクルマエビのウイルス性疾病PAV(Penaeus japonicus Virus)の
検査方法についで説明があり、
現在用いられているPCR(ポリメラーゼ連鎖反応、
Polymerase Chain Reaction)法は感度は非常に良いが
核酸抽出の操作上でコンタミによる誤診があるとの指摘
があった。その対策として抗原抗体反応を利用した
ELISA(Enzyme-linked Immunosorbent Assay)法の利
用が可能であることが報告された。
平成8年1月のPAV対策会議で確認した「ウイルス
を持ち込まない、持ち出さない、出さない(発症させな
い)」のコンセプトにより今年度の発症例は減少した。
しかし、親エビの検査では検出されなかったが中間育成
後の放流前にウイルスが認められた例があり、その原因
についても討論があった。
2)ヒラメの無眼側体色異常魚の出現要因の究明と防除対策:
ヒラメは全国で2,100万尾以上が放流され、
漁獲の10%以上が放流魚で占められるまでになってい
ることから、日栽協は全国でヒラメ価格のアンケートを
行った。その結果、体色異常魚の価格は正常魚の3~8
割の値段であった。平成7年度からこの対策に取り組ん
でいるが、さらに強化するために平成9年1月に情報交
換会を開くとの説明があった。各県の種苗生産機関では
栄養強化により体色異常は改善しているが、高密度飼育
のストレスによる発生もありうるとの興味深い指摘も
あった。
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