中央水研ニュースNo.16(平成9年4月発行)掲載 |
【研修と指導】 「資源管理研究研修会」について
赤嶺達郎
昨年の9月30日~10月2日の3日間、中央水産研究所の 講堂において資源管理研究研修会が開催された。各海区 水産研究所から14名、都道府県の水産研究機関から103 名、合計117名が受講した。あらかじめアンケートを 行って開催日時や研修内容を決定したが、講演は以下の 通りであった。松冨先生以外はすべて水産研究所の職員 であるが、多忙な中、誠意をもって対応していただき、 改めて事務局より謝意を表したい。評判のよかった講演 は、0HPの文字が大きくて見やすかったもの、演習問題 をとり入れて分かりやすく解説したもの、資料にも図を 入れて懇切丁寧に解説したもの等であった。
講堂の収容人員は80名程度であるが、本年よりTAC制 度が開始されるという状況のため、無理を承知で参加希 望者全員を受け入れたのであるが、さすがに物理的な環 境収容力に無理があった。「OHPが見づらかった」、「蒸 し暑かった」、「パイプ椅子が痛かった」等の苦情が多 かった。次回からは最大でも80名に限定する予定である。 参加者は資源解析の初心者と、ある程度の経験者に二 分され、前者にとっては難しすぎ、後者にとっては退屈 な部分もあったようである。次回からは「基礎編」と 「応用編」を区別して行うという案もあるが、両方を個 別に実現できるかどうかは検討中である。 本来の研修であるならば、参加者を最大でも20名程度 に限定し、実技中心にパソコン等を用いて解析するのが 理想的であるが、現状では困難である。今回研修を受け た海区水産研究所の担当者が、各海区において個別にそ のような研修を実施するのが望ましい(海区水産研究所 の担当者を最前列に並ばせたのはそのためです!)。 講師の方々にはできるだけ配布資料を用意してもらっ たが、資料だけでは理解しにくいものもあったようであ る。なお、松宮先生の資料は後日、事務局から参加者全 員に配送した。最近出版された先生の「水産資源管理概 論」日本水産資源保護協会(水産資源叢書46)も併せて て参照されたい。 筆者が水産学科の学生であった20年前にはr水産資源 学」は必須であったが、最近では専門分野によっては必 須ではないらしい。したがって、今後は就職して初めて 水産資源学を勉強するハメになる人も少なくないと考え られる。今回は時間的な余裕がなかったため、事前にテ キストを作成することができなかったが、次回からはテ キストを作成し、事前に参加者全員に配布して予習でき るようにしたいと考えている。また、研修自体について も演習問題を多く組み込んでいきたい。 水産資源学は「実学」であって、役に立たなくては意 味がない。解析に都合がよいだけの非現実的な仮定や、 理解しにくい複雑な数式はできるだけ排除したいと考え ている。よいデータさえあれば高級な理論は不要である( パソコンにしても簡単なプログラムと表集計ソフトが使 えれば十分だろう。今後はそのような方向で行きたいと 考えている。 (生物生態部数理生態研究室)
MSY:Maximum Sustainab1e Yield 最大持続生産量 Y/R:Yield Per Recruitment 加入量当たり漁獲量 VPA:Virtual Population Analysis 仮想年級群解析 RP:Reference Point 管理基準 ABC:Allowable Biological Catch 生物学的漁獲可能量 EPM:Egg Production Method nrifs-info@ml.affrc.go.jp |