水産庁の肝煎りで進められている資源管理型漁業推進のため、東海三県（静岡、愛知、三重）では平 成７～９年にかけてトラフグについての諸調査を実施し、９年度末に資源管理指針を出すことになって います。これを基にしてその後も検討がなされ、将来は漁業者による自主的な資源管理型漁業が実行さ れることになります。静岡県では事業推進のために「静岡県広域資源培養管理対策推進協議会」を設置 し、その下にトラフグを対象とする天然資源調査部会並びに漁業経済調査部会を発足させました。私は 前者の委員に委嘱され、平成６年度末の準備会以来年２回の会議に出席して来ました。 　会議の出席者は県の水産課と水産試験場、県漁業協同組合連合会、静岡県ふぐ漁組合連合会の役員に 名を連ねる各漁業協同組合の組合長、そして東京水産大学の東海・馬場両助教授（後者は漁業経済調査 部会担当）と私（岸田）でした。会議では先ず、７年度調査結果について、標本船による漁業実態調査 、市場での体長組成・成熟度調査、標識放流による分布調査など幅広い調査の成果が水産試験場の担当 者から報告され、次いで８年度の計画について討議されました。８年度以降は管理モデルの作成とシミ ュレーションによる管理効果の予測といった計画も入ってきます。

更に同じメンバーで漁業経済調査部 会の報告について討議しました。 　東海三県でのトラフグ漁は、昭和63年に大卓越年級が発生し、平成元年の漁獲量を300トン以上に押し 上げて以来盛んになっています。しかし、沿岸漁業における重要な漁業資源としての地位を得たためも あって、御多分にもれず取り過ぎが懸念されており、出席者による討議は活発でした。そのような中で 、管理をするなら東海三県で足並みが揃わないと意味がないが三県で獲る時期とサイズが異なっている のをどう調整するのかとか、単価が高くなる時期（晩秋から冬季）まで解禁を遅らせた方が良いかも知 れないが禁漁が延びる間の生活はどうするのかとか、いろいろ問題もあります。しかし、より少ない努 力でより多い収入を上げるのが漁業者にとって良いことは明らかであり、そためには何をすべきかと言 うことの合意を目指して事業は進んでいます。 （生物生態部数理生態研究室長）

静岡県榛原群相良町で地頭型漁業協同組合 に水揚げされたトラフグ

静岡県の調査船駿河丸によるトラフグ標識放流調査 (写真は静岡県水産試験場安井港氏提供)

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