【研究調整】
水産利用加工に係る関係行政部局と中央水産研究所との連絡会の開催について
山澤正勝

 水産利用加工分野を取り巻く環境は、原料供給事情の変化、消費者ニ-ズの多様化、加工技術の高 度化、食品の安全性や品質保持に対する関心の高まり、国際的な新しい衛生管理手法(HACCP) の導入等、大きく変化している。そのため、水産庁では、最近の水産業に関する施策のあり方につい て検討する水産政策検討会を設置し、その中の流通加工消費小委員会で水産流通加工消費の現状や水 産加工のあり方等について検討がはじまっている。一方、中央水産研究所利用加工分野における研究 ニ-ズの把握およびシ-ズの探索は、都道府県試験研究機関、大学、民間研究機関等との情報・意見 交換とともに行政部局からのニ-ズの汲み上げも重要である。このような背景のもと、水産物の利用 加工分野の行政・研究を効率よく推進するには、行政部局と研究分野とが一層緊密な連携を図ってい くことが求められており、標記会議が平成8年7月12日(金)、中央水産研究所で開催された。
 本会議は過去2回開催されたが、この会議を継続的なものにするため運営要領を定めた。まず本会 の主旨は「水産物の利用加工関係の行政部局と研究分野との緊密な連携を図り、利用加工分野の行政 ・研究の推進のために開催する」であり、現在の構成者は以下の通りである。
(1) 水産流通課:水産加工室、流通企画班、
(2) 研究課:研究調整班、水産ハイテクノロジ-開発室、研究管理官、
(3) 中央水産研究所:企画調整部、利用化学部、加工流通部、経営経済部、水産研究官、
(4) その他本連絡会が必要と認めた者。
 本会議では、まず水産加工室から、水産利用加工分野における行政側から研究機関への 要望として、ホタテ、アサリなどの貝毒、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ等の食中毒菌、 HACCPに係わる食品衛生微生物、寄生虫といった食品の安全性に係わる問題や、食品の 原材料の表示違反に係わる問題への行政的な取組みに対して、水産研究所を中心に技術・研究 面でサポ-トする体制づくりを要請された。また、水産ハイテクノロジ-開発室および研究 調整班から、平成9年度からの新規事業の説明、中央水産研究所からは本年度の水産利用加工 研究推進会議の概要報告、経営経済部からは消費流通に係わる最近の研究および今後の研究 課題についての説明があり、それぞれについて意見交換を行った。
 これらの中で、食品の安全性等に係る体制について、中央水産研究所としては、現在の組織に おいて直接対応できる部分と他機関に依頼する部分とを明確にし、全体として行政の要望に 対応できる体制を確立していく必要がある。また、意見交換の中で特に問題と思われるのは、 各行政部局が種々の事業予算を組み立てる際、水産庁内でお互いに意見交換をする機会が ほとんどないということである。今回、水産ハイテクノロジ-開発室から減毒の技術開発等に 関する事業が説明されたが、貝毒研究については、漁場保全課が長年貝毒対策事業として 取り組んできている。水産庁研究所でも平成10年のプロジェクト研究の素材として 「有毒プランクトンの生理生態と沿岸海洋生態系に及ぼす影響の解明」を組み立てている。 このように、同じ貝毒に関する研究でもそれぞれ研究の目的・内容が異なるが、行政と 研究所とがお互いに連携をとりながら効率よく問題の解決を図る必要がある。今後、このような 会議を通して行政の事業と研究所のプロジェクト研究等の調整を図っていくことが重要で ある。
 この連絡会は、行政部局が事業の課題化に取り組みはじめる2月頃に2回目を開催する 予定である。水産庁は新海洋法秩序に対応した大幅な組織改正を検討しており、その一環と して加工流通分野における施策対応を強化するため水産流通課から水産加工課および流通 消費課の新設・改組による組織拡充が進められている。そのため、ますます行政との連携が 重要になるが、この会の趣旨を達成していくために、今後、毎回テ-マを決めて着実に議論を 積み重ねていきたい。

(加工流通部長)


Masakatsu Yamazawa
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