海洋生産部の研究推進について

熊田 弘

 平成8年度の海洋生産部の研究推進について、中央水産研究所の4つの基本的役割をふまえながら、抱負を述べたい。
 各水産研究所で実施する研究の全国的視野からの共通基盤的研究の推進については、水産研究官、行政部局によるニーズ 、シーズの探索、分析と推進会議の論議を経て具体的な課題化がなされることになるが、海洋生産部自らが行う課題化につ いては、リモートセンシング利用技術の開発や地球環境研究に関連した問題の中から課題化を模索していきたい。
 太平洋中区の試験研究機関との連携については、現在実施中の伊勢・三河湾漁場生産力モデル開発基礎調査を当研究所の 生物生態部とも連携をはかりつつ推進していきたい。また、中央ブロックの海況予測や、リモートセンシング技術の開発を 行ううえで重要な黒潮流路の変動のモニタリング体制についても関係水産試験場の協力を得つつ整備につとめていきたい。
 水産研究所間の連携、調整に関しては、平成7年12月27日に中央水産研究所と宇宙開発事業団との間で共同研究「衛星観 測システムの海洋生態系研究及び水産業への利用のための基盤技術に関する研究」の契約が締結され、水産庁研究所及び宮 城県水産研究開発センター、茨城県水産試験場、東京都水産試験場、愛知県水産試験場の協力を得つつ実施することとなっ た。共同研究の実施にあたって定められた研究実施要領に基づき、海洋生態系観測システム研究会が発足し、第1回の研究 会が平成8年4月5日に開催され、本年夏に予定されているADEOS/OCTS打ち上げ後の観測計画、観測体制について論議が行 われた。この研究会の事務局は海洋生産部が担当することになっており、共同研究の円滑な推進につとめていきたい。水産 庁研究所の協力を得つつ実施しているもう一つの課題である放射能調査については、ひきつづき旧ソ連・ロシアが核廃棄物 を投棄した日本海及びその他の極東海域を中心に、より一層の連携をはかりつつ監視体制を強化していきたい。
 以上に述べた研究の取り組み状況については、中央水研ニュースの紙面にて、積極的に情報の発信につとめていきたい。
(海洋生産部長)