中央水産研究所の研究情報等を効率的に発信するために

-中央水研ニュースの効率的活用-
中村 保昭

 中央水産研究所は、平成元年度に水産資源の維持培養と計画的・合理的利用に資する試験研究の一層の推進を 図るため、昭和63年度に実施した他の水産研究所の再編を踏まえ、全国的視野からの共通基盤的研究、総合体 系的研究等を推進するため、東海区水産研究所を改組した(平成元年1月24日:閣議決定)。

 これを受けた中央水産研究所の基本的役割は、以下のとおりである。
1.各水産研究所で実施する研究の全国的視野からの共通基盤的研究の推進。
2.全国一本での集中的な研究推進が重要であり、他研究所が分担していない分野の基盤的研究の推進。

(1)利用加工:海洋の有用な資源を探索し、新たな利用開発に向けた基礎的研究及び多様化する食生活の動向を踏 まえた健康的で、高品質の水産物を供給するための加工・流通技術に係る基盤的研究
(2)環境保全:汚染物質の毒性試験手法やモニタリング手法の開発、並びにその動態機構や水産生物への生理生化 学的影響等に関する基盤的研究
(3)内水面利用:内水面総合利用に対応した魚類生態・漁場環境・漁場管理研究
(4)経営経済:漁業管理、経営、流通、地域経済等の社会科学に係る基盤的研究
3.太平洋中区を担当する水産研究所として、地域の試験研究機関と連携した研究の推進。
4.水産研究所の研究に関する総合的体系的研究の推進及び水産研究所間の連携調整。

 

 中央水産研究所が水産研究の中核的役割を発揮するには、上記の基本的役割が(1)研究、(2)調整、(3)情報発信 ・交流、(4)研修・指導の各機能にバランスよく発揮されることであると考えている。
 一方、中央水研ニュースは、中央水産研究所及び中央ブロック試験研究機関並びに全国対応研究部門(内水面 利用、水産利用加工、環境保全、水産経済)の研究を推進する機関における調査・研究及び運営上のニュースを 広報し、基盤的研究・総合体系的研究の推進及び地域との連携の強化並びに水産研究所間の調整機能の強化の一 助とするとともに、業務の円滑な推進に寄与することを目的に、おおむね以下の内容で発行されている。
1.調査・研究に係るニュース(調査・研究に係る計画、経過、成果及び提言並びに各種会議、研修、留学の報 告等)。
2.中央水産研究所及び中央ブロック内並びに全国対応研究部門の研究を推進する地域試験研究機関におけるニ ュ-ス・研究広報等。
3.中央ブロック及び全国対応研究部門の研究を推進する地域試験研究機関の水産研究及び水産業情報。
4.その他、上記の目的を遂行するに必要と認めた事項。

 そこで、中央水研ニュースの効率的な活用により、中央水産研究所の基本的な役割の実行・成果が、外部に対し て見えやすくするため、従来の中央水研ニュース構成を改め、(1)研究、(2)調整、(3)情報発信・交流、(4)研修・ 指導に仕分け、中央水産研究所の基本的役割の実行が、明瞭に理解されるよう、今号(第13号)より、新たな組 立とした。
 本ニュースでは、各研究部長より上記の4点についての各部の取り組みと、今年度における研究の抱負について 書いていただいた。

(企画調整部長)