中央水研ニュースNo.2(平成2年3月発行)掲載


中央水研を去るにあたって
能勢 健嗣

 1年半の比較的短い期問でしたが、皆様のお力 添えによりなんとか責務を果たすことができたこ とに心から感謝いたしたいと存じます。東海水研 から中央水研への組織替えという重要な時期に所 長として仕事が出来たことは私にとって大変貴重 な体験となりました。新研究所の発足に当って長 官をお呼びしたこと、中央水研の新しい表札に揮 毫して戴いたこと、新研究所の建設用地確保のた めの横浜市との交渉、特特会計・宿舎の確保のた めの大蔵省との交渉など、思い出の多い日々でし た。
 在任期問中、ベルリンの壁の崩壊に象徴される ように世界的規模で極めてドラスチックな体制の 変革がありました。一方、日米の経済摩擦も一段 と厳しくなりつつあります。水産業も新しい体制 へ向けての曲がり角は越えてしまったわけですが、 国際化、情報化時代のなかでどの様な展開をしな ければならないのか、問題が山積しています。水 研での研究者の世代交代も急速度で進んでおりま す。
 水産生物の生活の場から生物生産、漁業生産、 流通技術、水産経済に至る一連の水産研究の総合 的・機能的研究機関として中央水研が位置づけら れたことは正しい方向であると思います。しかし、 その方向を具体化することは必ずしも容易ではあ りません。広い分野を小数の研究者でこなして行 くには限度がありますし、現実問題として緊急な 課題にも応えなければなりません。水研の研究者 がオルガナイザーとしての役割を果たすことが重 要となる所以であると思います。中央水研が生産 から消費にいたる各専門分野の部を擁している点 を大いに活用するために、各部間の協力体制を是 非強化して戴きたいと思います。
 4月から新水研の建設のための作業が急ピッチ で進むと思われますが、来るべき新世代の研究者 のために素晴らしい施設をお願いしたいと思いま す。そのためにも、21世紀の水産研究がどの様 なものであるのかを斬新な角度から検討し、それ を具体化してもらいたいと考えております。平成 5年4月にどの様な研究所が姿を現すのか今から 楽しみにしておることを申し上げて、ご挨拶と致 します。
(前所長)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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