中央水研ニュースNo.1(平成元年9月発行)掲載

【新水研究発足にあたっての各部の抱負】
研究官室
(その後の組織改正のため、現在この部署は存在しません)
久米 漸

 平成元年5月29日、中央水産研究所の発足と同 時に新しい研究グループが陽の目をみることになっ た。組織規定によると「水産研究官は、命を受け て・水産に関する調査及び試験研究の傘画及び連 絡を行い、関係業務を総括する」、また、組織細 目によると「中央水産研究所に資源管理研究官、 海洋環境研究官及び資源増殖研究官を置く」となっ ていて、夫々の専門分野に関する調査及び試験研 究に係わる調査手法、研究手法その他の専門技術 上の事項にっいての研究を行うことと規定されて いる。この研究グループは組織上、所長直属のス タッフとして位置付けられグループとしての正式 な名称はないので、便宜上「研究官室」と呼ぷこ とにした。
 「研究官室」の基本的な仕事は、具体的には各 水産研究所に共通して抱えている基盤的な研究問 題を中心にとりあげ連絡調整を計ることであると も捉えられよう。それを実現する重要な場は、こ れまでの関係部長会議に変って今年度から始る水 産業関係試験研究推進会議(推進会議)であり、 それを活性化し、その中から今後の研究方向の展 望を開くことが大切ではないかと考えている。関 係部長会議が従来行政側からの招集で開催されて きたためか、水産庁からの情報の上意下達的な色 彩が強いという批判の声をよく耳にした。今年か ら始る推進会議は中央水産研究所所長の招集によ るものであり、研究サイド主導型で運営されるこ とになったが、それだけに水産研究所としての責 任は重くなった訳である。最近各水産研究所は時 代に即した新しい研究組織として、伝統的に継続 してきた研究業務の良い点を生かしながら脱皮を 計って再発足したばかりである。推進会議の成功・ 不成功は、会議構成者であり研究面での実質的な 責任者でもある各部長等の方々の積極的な問題提 起と充分な論議に依存している。「研究官室」が 推進会議事務局として会議運営に全力投球をする ことは勿論であるが、時として各水産研究所ある いは各専門分野の夫々がモンロー主義的な立場を とる側面が現れること、また研究技術面での細分 化(特化)が独立独歩的な立場をとらせやすいこ と等に留意しながら、これらの境界領域に関する 研究問題の連絡調整面でもお役にたてればと考え ている。推進会議は10月中旬に開催の運びとなり、 「研究官室」としても技術会議に提出するプ回ジェ クト研究課題の素材の提案が求められていて、専 門分野間の境界領域に関する素材があればと四苦 八苦しているところである。
 「研究官室」が発足して4ヵ月経過したが、推 進会議の開催に同けての準備と運営細目の作成、 最新の研究情報を連絡するための「研究官室ニュー ス」の発行、地球環境問題に関する冊子刊行のた めの編集事務局の担当、研究課の研究管理官グルー プとの月例的な情報と意見の交換、各専門分野別 の情報収集等々、手探りで進みながらも色々な経 験を重ねてきた。今後どのような問題が飛び込ん でくるか分らないけれども、水産研究に係わる将 来展望にお役にたてるよう努力する基本的立場は 守っていきたいと考えている。新しく発足したこ の「研究官室」の基礎作りに、皆様のご理解とご 支援を改めてお願いいたします。
(水産研究官)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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