中央水研ニュースNo.1(平成元年9月発行)掲載 |
【新水研究発足にあたっての各部の抱負】 加工流通部
(その後の組織改正のため、現在この部署は存在しません) 江平 重男
中央水産研究所の組織改変により、水産物の漁 獲後の利用に関する研究は利用化学部と加工流通 部の2部で担当し、加工流通部は食品のみを対象 として、いわゆる従来からの利用加工の分野を継 承することになった。 近年、国民の食生活は、所得の向上、生活様式 の変化を反映して高級化、多様化している。そし て日本型食生活、特に魚食の栄養学的評価が高ま り、かっ魚介類にEPA,DHA、タウリン等に みられるように、血中のコレステロール値を下げ る作用や血栓予防等、'老人病を予防し、あるいは 体調を回復する生理的機能の存在が明らかになる にっれて魚食志向が高まっている。一方200海里 体制の定着、円高基調等により、水産物の輸入は 毎年増加し63年は214万トン、1兆4,053億円に達 したが輸入増加の傾同は今後も続くと予想されて いる。 しかし、水産物の安全性については、自然毒や 食品添加物、加工・流通過程中に二次的に生成す る有害物質等の他、漁網防腐剤、漁船塗料等に使 用される有機スズ、TBTO,TPTによる汚染 等不安要因も多く、特に輸入水産物は消費者に不 安を与えている。 食品特性研究室では食品としての特性を明らか にし、加工技術研究室では従来型加工技術の改良・ 開発、省力化・省エネルギー化、種々の先端技術 導入による加工食品および食品素材化の技術開発、 品質保持研究室では漁獲直後から貯蔵、流通末端 に至る生鮮・冷凍魚介類の品質保持、並びに水産 加工品の加工、貯蔵、流通末端に至る品質保持、 食品保全研究室では食中毒の防除、加工・流通過 程中に生成する有害成分の探索、その防除技術の 確立、輸入水産物および未利用魚の安全性の擬寸、 異常水産物の成因解明と防除技術の解明に関する 研究を行なう。以上、先端技術を導入し、先導的、 基盤的研究を積極的に推進することにより、国民 に安全で高鮮度・高晶質の水産物を安定的に供給 する。これらの成果は国内のみならず、広く国際 社会において食生活の改善に貢献しうるものと確 信する。 (加工流通部長)
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