中央水研ニュースNo.1(平成元年9月発行)掲載

【新水研究発足にあたっての各部の抱負】
中央水研蒼鷹丸として
中山 覚介

 蒼鷹丸のブリッジフロントに青錆をうっすらう かべた貫禄の号鐘が鎮座している。代船建造時は 新船へと受継がれてゆくのが普通で、大正14と刻 まれた時代物である。過去3代の蒼鷹丸を、つま り我が国漁業調査の歴史を冷静に見続けてきたこ とになる。
 その歴史故に“中央水研蒼鷹丸"のなじみにい まひとっの感が免れないのも、この段階ではやむ 得ないと思われる。中央水研の新しい研究の発展 に欠かせぬ実戦部隊として機能を発揮しつつ名実 共に“中央水研蒼鷹丸"になりきることが当面の ポイントといえる。
 水産をとりまく環境の変化が著しく、新しい研 究課題が設定される中で、例えば資源管理型漁業 における管理に資する科学的調査、洋上における 生態学的又は生化学的実験、地球的規模での変動 にかかわる調査、研究の他部門に関連する共同調 査、国際的な協同調査の増加も予想される。これ ら調査に的確に対応し、水研所属の科学調査船と して精度の高い、国際的にも充分信頼される良質 な調査の実行が求められる。このためには、調査 船そのものを抱合し測器類が優秀で完備されてい ること、調査に携わり運用する乗組員及び調査員 が技術的に優れていると同時に調査に対する熱意 に満ちていることが不可欠で、この点を強調して ゆきたい。
 現3代目蒼鷹丸は建造以来20年目を迎えすでに 老齢である。従来関係者、諸先翠が特に新しい測 器等の導入に努力を払われたお陰で調査業務にか かわる機能としては一応の水準を保ってはいるが、 スペース的にも新たな機能の向上は困難である。 一方船体機関の随所に老巧化、疲労等が進んでい ることから4代目蒼鷹丸の建造は急務である。 新しいことを視点に述べてきたがハイテク時代の 今こそ調査活動の基本を重要視したい。偉大な海 にくりひろげられる調査船の活動が複雑化且っ高 度化するとき、基本を忠実に守りつつブラシュアッ プされる技術のみが有効であろうと信じるからで ある。
(蒼鷹丸船長)

nrifs-info@ml.affrc.go.jp
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