中禅寺湖ホンマスの生態調査のため
今年放流する稚魚全数に鰭切り標識を実施します
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所 日光庁舎
中禅寺湖漁業協同組合
栃木県水産試験場
【概要】
福島第一原子力発電所事故の影響を受け、中禅寺湖のマス類から食品の基準値を上回る放射性セシウムが検出されており、現在、基準値を満たしているワカサギを除き、マス類ではキャッチアンドリリース(C&R)制による遊漁が行われています。
特に、マス類の中でも魚食性を示すホンマス、ブラウントラウト、レイクトラウトについては、プランクトン食性のヒメマスに比べ放射性セシウム濃度が高く、未だ減少傾向が認められない魚種も含まれることから、持ち帰り規制解除に向けた見通しを立てることが困難な状況にあります。
チェルノブイリ原発事故の影響を調べた研究によると、サケ科魚類は大型・高齢の個体ほど放射性セシウム濃度が高いとされています。しかし中禅寺湖では、このような調査は実施されておらず、放射性セシウム濃度の推移をより詳しく調べるための課題となっていました。
そこで先ずはホンマスに焦点をあて、今後の調査の際に年齢が識別できるよう、今年放流する稚魚全数に標識(あぶら鰭切除)を施すことにしました(下図参照)。
また副次的な成果として、放流魚と天然魚の比率、放流魚の生残率など、ホンマス稚魚放流が湖の資源にどの程度貢献しているのか、についても把握出来るようになるとが期待されます。
中禅寺湖を愛する釣り人の皆様は、鰭が揃った美しいマス類を釣ることを楽しみにしている方が多いと思います。しかし、この調査により今後(恐らくH29年度から)は「あぶら鰭のない」ホンマスも釣れてしまうことになりますが、あぶら鰭切除がホンマスの生活に及ぼす影響はほとんどないと言われていること、また中禅寺湖のホンマスの生態を明らかにし持ち帰り規制解除の見通しを立てるためにも、今回の標識放流調査にご理解を頂ければ幸いです。
【問い合わせ先】
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所 日光庁舎
(担当:鈴木 俊哉)
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