■ 学会参加報告 中央水研だよりNo.2(2006. 平成18年3月発行)掲載
「第6回国際異体類シンポジウム(in舞鶴)6th International Symposium on Flatfish Ecologyに参加して」 片山知史 6th International Symposium on Flatfish Ecology Satoshi Katayama


「第6回国際異体類シンポジウム(in舞鶴)」
写真1
 
「第6回国際異体類シンポジウム(in舞鶴)」
 2005年10月20日から25日まで約一週間に渡り、京都大学フィールド教育センターが中心になって開催された上記シンポジウムに参加しました。この国際シンポジウムは1990年に始まり、3年に1回開催されており、今回は舞鶴(写真1)で開催されました。参加者は、25カ国からの約160名で、そのうち約半数が海外からでした。当水研センターからも、多くの研究員が参加しました。
 約一週間の日程は、京都大学フィールド科学教育研究センターの田中教授、山下教授、田上助教授らが中心となって、企画運営され滞りなく行われていましたが、特に会場での益田助教授の「仕切り」の見事さには、目を見張るものがありました。口頭発表もポスター発表もセッションが設定されており、1.Breeding and feeding habitats for adults and preadults(成魚未成魚の産卵および摂食行動)、2.Pelagic habitats for eggs and larvae(浮遊卵稚仔の生育環境)、3. Coastal nursery habitats for juveniles(稚幼魚の浅海域生育場)、4.Fisheries / stock enhancement / management(漁業、資源培養、資源管理)、5.Aquaculture / physiology(増養殖と生理学)、6.Environment / anthropogenic impacts(環境と人為的影響)、7.Other topics(その他)といった幅広い発表が行われました。
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ヒラメの
耳石形態の変異
写真2
 
ヒラメの耳石形態の変異
 私は栽培漁業と資源管理のセッション4で、ポスター発表Variation in otolith macrostructure of Japanese flounder (Paralichthys olivaceus): discrimination of wild and released fish in developing a mass-marking system(ヒラメにみられる耳石形態の変異-放流種苗と天然個体の識別および大量標識技術の開発-)、を、共同研究者である神奈川県水産技術センター・一色竜也さんとの連名で発表しました(写真2)。その内容は、1.ヒラメの耳石の形(大きさ、楕円度、縁辺の粗度)を放流種苗と天然個体とで比較したところ、放流種苗の方が楕円度が小さく(つまり丸に近い)、縁辺が粗い(つまり凸凹)という特徴があった。2.この原因を明らかにするために、飼育ストレスが影響しているものと仮定して、いくつかの水温と餌の量を設定して飼育実験を行ったところ、これらの飼育条件では耳石の形には差異が認められなかった。3.しかし、飼育水温が耳石の形ではなく耳石に見られる年輪様構造に差異を与えた、というものでした。
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水温と耳石輪紋の関係
写真3
 
水温と耳石輪紋の関係
 ポスター発表の反応としては、特に3の結果に関心をもたれたようです。これは、孵化後3ヶ月のヒラメ(人工種苗)を約1月間、15度、20度、25度で飼育したところ、餌の量に関わらず、水温15度、20度の低い水温では不透明帯が、水温25度の高い水温では透明帯が形成されたというものです(写真3)。魚の耳石に形成される年輪は、ヒラメに限らず生活年周期との対応で理解されることが多かったのですが、今回得られた水温と耳石輪紋とのクリアな関係は、耳石年輪の形成機構や疑年輪の解釈に大きく貢献できるものと期待されます。また放流種苗などの追跡調査に不可欠な大量標識技術への応用展開も可能であると考えられ、今後さらに研究を進展させていくつもりです。
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