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河川工作物と内水面漁場環境

調査の方法と結果の概要

調査の方法
・全国823の内水面漁業協同組合を対象に、内水面漁場環境に関するアンケート調査を実施した。
・調査項目は長期的に見た漁獲量の増減、その原因、水域環境の変化とその原因、漁業に影響を与えている河川工作物の有無、および河川工作物に関する詳細と行政、研究機関への要望等の記述。
・現場漁業者の実感での回答。調査票を郵送し、記入の上、同封した返信用封筒で回収した。
・422漁協から回答を得た。(回収率51.3%)

調査の結果
1.漁獲と漁場環境
・最近の漁獲量・・・・・・・「減少した」が85% (図1)
・漁獲量減少の原因・・・環境悪化が第一位  (図2)
・「漁場環境が悪化した」・・・・
77%  (図3)
・漁場環境悪化の主な原因・・・・河川改修・護岸工事、ダム・堰堤の建設 (図4)
・「管轄水域内に漁業に影響する河川工作物が存在する」のは
73% (図5)




2.河川工作物
・具体的な河川工作物の情報は927件得られた。
・河川工作物の種類別件数では、取水堰堤・頭首工が438件で、半数近い。(図6)
砂防ダム・堰堤は、件数は116件であるが、一件について100基以上という場合も少なくない。水域によっては上流域では数え切れない程の砂防堰堤で河川が寸断されている実態がある。
漁業者から見た河川工作物の問題点では、「魚道無し」が350件、「魚道が機能せず」が336件で、両者を合わせた移動経路の遮断(686件)が全体の74%を占めた。
(図7)
工作物の種類別にその問題点を調べたところ、多目的ダム・治水ダム、発電用ダムにおいては、移動経路の遮断に加えて、濁水や水質の悪化が問題である。また、河相の単純化をもたらす原因としては、護岸工事が最多であった。(図8)



 機能していない魚道については、早急な改修が必要である。設計上の欠陥で初めから魚が上れない魚道もあるが、河川は出水毎に様子が大きく変化し大量の土砂が魚道を埋めてしまう場合もあるために、設置時には有効であった魚道も保守管理が不十分であれば機能しなくなる。新たに魚道を設置する場合は保守管理のし易さも考慮することが重要である。


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