するめ

○するめとは
 するめは、イカ類の内蔵を除去して乾燥させた素干し品であり、最も簡便な加工品、保存食品の1つとして、古くより親しまれてきたものです。平安時代には、すでに朝廷に献上されたとの記録が残っています。
 室町時代前後より戦後まで、中国などへの輸出品の花形でもあり、特に、長崎県五島のけんさきするめは五島するめと称され、その代表であり、品質も極上品とされていました。
○生産と消費の動向
近年の生産は、1993年(平成5年)の1万8千トンをピークに、概ね1万3千トンで横ばい状態にあります。
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図 全国するめの生産量
(水産物流通統計年報 農林水産省統計局編)
 近年の生産は、1993年(平成5年)の1万8千トンをピークに、概ね1万3千トンで横ばい状態にあります。北海道、青森、富山、長崎、兵庫、岩手などの生産が多く、また最近では中国、ベトナム、タイからの輸入もあります。
 するめ製品は、原料別では、けんさきするめ(一番するめ)、二番するめ、ぶどうするめ、藻するめ(水するめ)、芭蕉するめ、甲付するめ、笹するめなどがあり、製造方法別では、並するめ、磨するめ、尾孔するめ、お多福するめ、袋するめ、白するめなどがあります(須山ほか:イカの利用、1983)。
○原料選択のポイント
 原料として、ヤリイカ、ケンサキイカ、ブドウイカ、スルメイカ、トビイカ、アオリイカ、モンゴウイカなどを用います。原料の鮮度は品質を大きく左右するので、冷凍原料を含めて管理には注意が必要です。
○加工の原理
 素干し品であり、乾燥により水分活性化を低下させ、風味と保存性を付与したものです。
○実際の製造過程
 原料は鮮度良好で透明感のあるものが良く、最近では、船上冷凍などの冷凍原料も使われるようになっています。 
 調理方法は外套膜(胴体)腹側の中央部を頭部から、鰭側方向に内臓を傷つけないように先端まで切り裂きます。けんさきするめの場合、先端より1~2cm手前で止めるのがコツです。さらに、頭脚部も開き、軟甲を残して、内臓・眼球・嘴(くちばし)を除去します。その後、海水で丁寧に洗浄し、最後に真水で洗います。塩分の付着があると、乾燥が悪く、製品が吸湿しやすく、光沢も劣ってしまいます。 
 表皮の剥皮は、製品によって異なります。外観を重視する磨するめなどの場合は剥皮を行います。その際には剥皮機を使うことが多いようです。けんさきするめは、後端部の表皮を胴の長さの約10%程度を残し、真横にまっすぐ切り取ります。通常、鰭は除去しますが小型の場合鰭を残します。このような製品を佐伯するめと呼ばれます。
 いよいよ最後の行程の乾燥・整形となっていきます。竹さおなどに張ったロープに、S字型の針金をつり下げ、これにイカの後端部を掛けます。竹串で胴体を広げ、長い脚部は両端の竹串に掛けます。8~9分乾き程度で一端伸展・整形を行い、乾燥後完成となります。 最近では、円筒形乾燥枠のついた回転式乾燥機があり、天気の良い日は屋外で、夜間は室内で回転させながら乾燥し、機械ローラーなどで伸展・整形を行います。回転式の乾燥機は、遠心力などで水分がとびやすいため乾燥が早く、また、動いているので蝿などもつかずに衛生的です。
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回転式乾燥機で乾燥中のするめ
○製品の形態・包装等
 製品は長脚で適宜束ねてくくられ、包装されます。
○品質管理のポイント
 製品としては、肉質のしまりが良く、美しい黄白色で、特有の香味を有し、脚部や吸盤の脱落もなく、形が整い、重量も揃っているものが良品である。吸湿や褐変による品質劣化に注意が必要であり、-20℃以下の冷凍保管が望ましいです。表面に白粉が浮き出ることがあるが、これはベタイン、タウリン、その他遊離アミノ酸の混合物とされています。
○成分の特徴
 するめにはアミノ酸のタウリンなどのエキス成分が多く含まれます。
するめの栄養成分
(可食部100g当たり:第5訂食品成分表)
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 アミノ酸のタウリンなどのエキス成分が多い。
○食べ方
 焼いて食べるほか、料理素材として、多くの料理に利用されています。
 また、縁起ものや飾りものとしての用途としても多く利用されています。

野中 健(元 長崎県総合水産試験場)