かつお節

○かつお節とは
  カツオを調理した後、煮熟、焙乾したもので、生節、裸節および カビ付けを行った本枯節等があります。
○生産と消費の動向
 農林水産統計年報によれば、2002年のかつお節の生産量は、 なまり節を合わせて全国で約4万トン、うち鹿児島県で約2万4千トン (全国の60%)が生産されています。 鹿児島県内では、枕崎市と山川町が主な生産地となっています。
枯本節
枯本節
節製品の生産量(2002年)
(単位:1,000t)
品名全国鹿児島県
かつお節3623
かつおなまり節41
さば節172
削り節452
その他141
11629
(農林水産統計年報)
○原料選択のポイント
 カツオは、世界の温帯、熱帯海域に広く分布し、日本近海には南方海域から 黒潮の流れに乗って回遊してきます。海外で漁獲されたカツオも原料として 使用されていますが、原料魚の脂肪含有量が製品の品質を左右し、 脂肪含量が多い原料は製品の香味が劣り、また、 貯蔵中に変色しやすいといわれています。 原料選択のポイントは原料魚の脂肪含量で、 その値が1~3%のものが適しているとされています。
 輸入冷凍カツオの約80%がインドネシア、フィリピンおよびソロモン等から 輸入されます。これらは、脂肪分が少なく良質な原料となります。 一方、海外まき網漁船が漁獲し、日本で水揚げしたカツオは漁場の違いから 脂肪分が多いものが多く、花かつおにした時に崩れやすく、 色調もピンク色にならずに、黄変する欠点があるといわれています。
○加工の原理
 調理したカツオを煮熟した後、焙乾します。 本枯節の場合、さらに日乾、カビ付けを繰り返します。
○実際の製造
 原料魚のカツオの年間使用量は枕崎市、 山川町の合計で約12万トン、その大半が地元に水揚げされる輸入、 あるいは海外まき網漁業漁獲原料となっています。
 原料魚が小型の場合、亀節(3枚おろしの各身のこと)に、 4kg以上の大型の場合、さらに背肉と腹肉に切り離し、 4本の本節にします。亀節では皮の付いた面を、 本枯節では身割りした面を下にして煮篭に並べます。
 つづいて煮熟の工程です。 煮熟水の温度が75~80℃になった時に煮篭を入れ、 97、98℃になってから、亀節で45~60分、 本節で60~90分間煮熟します。 その後、骨抜きした節を身おろしした面を下にしてせいろに並べ、 焙乾室で薪を燃やして焙乾します。 この時、節が均一に乾燥するように、上下の節を順次入れ替えます。 これを1番火といい、この時の節をなまり節といいます。 
 煮熟、あるいは骨抜きの際に形状を損ねた部分は、 調理時に得たなかおち等の生肉とこれを煮熟したものを混合、 擂り潰したもの(そくい)をすり込んで整形、修繕します。 その後再び1番火の場合と同様に焙乾します。これを2番火といい、 一夜放冷後、さらに焙乾を繰り返します。4~5番火からは1日おきに、 7~8番火からは2日おきに焙乾します。普通、亀節で8~10番火、 本節で10~12番火まで焙乾します。焙乾の終わった節を荒節、 または鬼節と呼びます。
 荒節はせいろ、またはむしろの上に並べて半日か1日、天日乾燥します。 その後、タール質で覆われた節の表面の表皮の付いた部分を残して薄く削り取り、 カビ付け工程でカビが付きやすくします。 削り終わった節を裸節、あるいは赤むきといいます。
 
●製造工程図
原料カツオ
解凍水中、一夜
頭切り頭部、腹肉の一部および内臓を切り取り除去する
三枚おろし
篭立て亀節では皮のついた面を、本節では見割りした面を下にして煮篭に並べる。
煮熟
骨抜き煮釜から煮篭を取り出し、放冷後、肉中の骨を抜き取る。
焙乾
なまり節
修繕
焙乾
荒節
日乾
削り
裸節
カビ付け
本枯節
焙乾後
焙乾後
 最後に、裸節をむしろ上で2~3日間、日乾した後に、カビ付け用の木箱に 詰めてカビ付けを行います。およそ10日後に青緑色の1番カビが付きます。 これをむしろに並べて日乾後、ブラシで表面のカビを払い落とし、再び木箱に詰めます。 10~14日後に、2番カビに覆われるので、1番カビと同様に、日乾して払い落とします。 このカビ付け操作を普通4回行い、カビ付けが終わった節を本枯節といいます。 
篭立て
篭立て
削り
削り
煮熟後
煮熟後
カビ付け
カビ付け
○製品の形態・包装等
 製品の形態は、生節、味付節、裸節、本枯節および削り節等があり、 包装の形態は、無包装、真空包装およびガス置換包装等があります。

新谷寛治(鹿児島県水産技術開発センター)