水産加工品のいろいろ
「いか塩辛」
○いか塩辛とは
 いか塩辛はイカの筋肉、肝臓に食塩を加え熟成させた食品で、 古くから各地のイカの産地で作られてきました。製造法により、 赤作り、白作り、黒作りの3種があります。このうち、赤作りは イカの切身に肝臓と食塩を加えて熟成させたもので最も一般的で 生産量も多いです。白作りは剥皮したイカの筋肉を用いたもので、 関西以西で好まれ、黒作りは富山の名産品であり、製造の際に イカの墨を加えたものです。

いか塩辛
○生産と消費の動向
 いか塩辛の生産量は、1993年度に約4万4千トンをピークに減少し、 2003年度には約2万7千トンとなっています。生産に占める割合は、 北海道50%、宮城県27%、青森県9%でこれらで全生産量の 約86%を占めています。

生産量(t)
宮城 北海道 青森 □その他

全国のいか塩辛生産高
「農林統計」より作成
○原料選択のポイント
 原料は、日本近海のスルメイカが主体ですが、 最近はニュージーランド近海のスルメイカや、アルゼンチン近海の マツイカなども用いられるようになりました。なお、アカイカは 筋肉が溶けやすく塩辛には不向きです。肝臓はスルメイカを もっぱら使用します。
○加工の原理
 いかの塩辛は、原料を細断したイカの筋肉と肝臓に10~20% 程度の食塩を加え、殺菌処理を行うことなく、腐敗を防止しつつ、 自己消化と微生物作用によって熟成させ、風味を付加した食品です。
 しかし最近の傾向として、消費者の低塩志向、チルド流通の発達に より食塩濃度5%程度の低塩分の製品が多くなっています。 このことにより製造の方法も変わって、細切した胴肉や脚肉に、 熟成させた肝臓を加えたり、調味料で味や風味を補ったり、 保存性を高めるためアルコール等を加えたりしています。 熟成期間についても短縮されています。  
○実際の製造
 ここでは赤作りと白作りについて説明します。
◇伝統式方式(赤作り)
 生鮮または解凍イカの内臓・口・軟骨などを除去し、 墨袋を破らないように肝臓を分離して容器にとります。 胴肉と頭脚肉は分離します。その後、胴肉と頭脚肉を それぞれ水洗いし、表面に付着している汚物を除去します。 特に、頭脚肉はよくもみ、吸盤中の角質環を除かないと 食感が悪くなるので、水洗い終了後は十分に水切りをします。
 次に、胴肉を集めて細断機にかけ、幅3~5mmに細断します。 脚肉は1~1.5cmのプレートを持つチョッパーにかけ、 2cmくらいに細断します。細切りした胴肉及び頭脚肉を 大型のタンクに60%程度入れ、これに食塩だけを加えて 攪拌します。食塩の量は、製造時期と貯蔵時期を勘案して 肉量の10~20%程度とします。
 肝臓は流水でよく洗浄し、表面の汚物を除き水切りをします。 次に皮を除き破砕します。使用する肝臓は固く整った物が 望ましいです。肝臓の添加量は3~10%程度です。毎日十分に 攪拌し、空気が全体に回るようにして10~14日熟成させます。 10月以降の冷涼期では熟成までに2~3週間を必要とします。 熟成が終わったら、容器に詰め製品とします。容器詰めの前に米麹、 味噌等を加えることもあります。  
◇低温方式(赤作り)
 細断するところまでは、上記伝統式方式と同じ工程です。 細断した肉に、5~10%の食塩を混合し、数時間おきます。 その後、遠心脱水機で脱水します。
 また、肝臓には食塩を5~10%まぶし、2週間程度熟成させます。 そして先ほど脱水した肉と、塩蔵後破砕した肝臓を混合するとともに、 調味料、アルコール等を加えてよく混合します。2~3日位熟成させた後、 容器に詰め製品とします。
◇白作り
 皮を剥いだイカの胴肉を開いて製造します。
●製造工程図
◇伝統的方式(赤作り)
原料
解体
胴体・脚肉肝臓
洗浄洗浄
水切り水切り
細切破砕
混合・攪拌

食塩添加
10~14日間
熟成
容器詰め
出荷

●製造工程図
◇低塩方式(赤作り)
原料
解体
胴肉・脚肉肝臓
洗浄洗浄
水切り水切り
細切り塩蔵
塩漬け破砕
脱水
混合・調味
熟成
3日間
容器詰め
出荷

○製品の形態・包装
 びん詰めまたはパック容器、ポリ袋に詰めて市販されています。
○品質管理のポイント
 近年、低塩分の製品が主体のため、製造工程および流通過程での温度管理が重要です。

郷古富雄(宮城県水産加工研究所(現 宮城県水産技術総合センター))

全国水産加工品総覧 編集委員会編
監修 福田裕、山澤正勝、岡崎惠美子 A5判、638頁、¥7,500(本体)+税 発行所(株)光琳
 この本は水産総合研究センターが主催する水産利用関係試験研究推進会議において、刊行することが合意され、都道府県の試験研究機関関係者など約150名もの専門家により執筆されたものです。
 さらに詳しく知りたいなど、ご興味がある方は、この本を是非ご覧になって下さい。

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