鳴門わかめとして有名な灰干しわかめは、養殖もしくは天然の新鮮なワカメに、 シダやススキ、わらなどの草木灰をまぶしたのち天日干しし、灰がついたまま製品とする海藻干製品です。 素干しわかめに比べ、鮮やかな緑色、歯ごたえの良さ、ワカメ特有の香りを、 常温で1年以上保つことができるのが特徴です。 |
灰干しわかめ |
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① | ワカメに付着した灰自体が水分を吸水するとともに、 灰の粒子によりワカメ葉体の表面積が大きくなり、 水分の蒸発効率が高まる。 |
② | 灰が付着することで葉体どうしがひっつきにくくなり、 風通しが良くなるため、水分の蒸発効率がさらに高まる。 |
③ | 灰が付着することで太陽光線を遮断し、 紫外線によるクロロフィルの分解を抑え緑色が長期間保持される。 |
④ | ワカメをアルカリ性にすることで、 葉体の生理活性(酵素作用)を停止させ、 軟化およびクロロフィルの分解を抑えることで歯ごたえが良く、 緑色が長期間保持される。 |
⑤ | 灰に含まれるカルシウムの働きで、ワカメに含まれるアルギン酸が 水に溶けにくいアルギン酸カルシウムになり、葉体の軟化を防ぎ、 葉ごたえが良くなる。 |
⑥ | 加工工程中に加熱処理がないことから、 ワカメ特有の香りが良く保持される。 |
⑦ | 乾燥することで水分活性を低下させるとともに、 アルカリ性にすることで微生物の繁殖やカビの発生を 常温で長期間防ぐことができる。 |
兵庫県で行われている製造の仕方を例にあげて説明します。 2~3月に刈り取った養殖ワカメと、3~4月に刈り取った天然ワカメを原料に使用します。 早朝に刈り取った時や、量が少ないときは脱水機で、午後から刈り取ったときや量が多いときは、 すのこの上で一晩放置して脱水します。 |
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つぎに、ワカメ20kgに対して灰を約4kgを灰まぶし機に入れて10分程度まぶします。 その後、棒やひもにかけ、日中は天日干し夜間は吸湿を2~3日繰り返し行います。 土産物用は200g、地元の民宿やホテルの料理として使う業務用は、1kgをポリ袋に入れ密封します。 吸湿させなければ、常温で1年以上保存可能です。 |
脱水機 |
灰まぶし機 |
灰まぶし工程 |
天日干し工程 |
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