nrifs_mark 水産加工品のいろいろ
「えびせんべい」
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○えびせんべいとは
 えびせんべいとは、えびのすり身とデンプンを混ぜ、 型にはめて焼いて作る伝統的な水産加工品で、愛知県で多く生産されています。
one 各種えびせんべい
 明治の中頃、三河の藩豆地方は豊かな三河湾で獲れる魚で大いに栄えていました。 「アカシャエビ」は古くから三河湾で大量に漁獲されていたエビでしたが、 当時食用としての需要はふるわず、一部は乾燥加工され、 「カジエビ」という名で中国に輸出されていました。 その中国では、この乾燥エビをせんべいに入れて加工し、再び日本へ輸出していたそうです。
 そのせんべいは、庶民の手には届かないとても高価なものでした。 この地方で蒲鉾等の練り物の製造を生業としていた通称「かまぼこ文吉」が、 このエビを地元で加工できないかと工夫し考えたのが、 この地方のえびせんべいの由来とされています。
 さらに、伊勢富田の地から来往した通称「ひげ貞」により、 蒸し器で一度に多量のエビを処理することが工夫され、これまで高価であった中国製品に対し、 安価でかつ多量にえびせんべいを生産できるようになり、この地方がえびせんべいの産地となりました。 以後、米せんべいとの違いを説明しながら県内外へと販路を拡大し、 現在、愛知県はえびせんべい生産量全国一となっています。
 えびせんべいには、当日水揚げされた新鮮なえびをふんだんに使って焼き上げる手焼きと、 機械自動焼きの製品があります。手焼きはすべての工程で長年の勘と熟練した技術が要求されます。
 エビのみを用いたシンプルなえびせんべいや、エビ以外の副原料も加えたえびせんべいなど、 現在、100種類にも及ぶえびせんべいが製造されています。 焼いた後に油で揚げたえびせんべいは人気があり、大手メーカーの二度焼き(堅焼き)えびせんべいは、 お土産として有名です。
○生産と消費の動向
 愛知県の三河地方と知多地方が主な生産地域であり、生産業者は両地方合わせて100社前後です。 出荷額は工業統計などから、両地方合わせて200億円と推定され、 これに土産品のえびせんべい大手メーカーを加えると300億円を越えると推定されます。
○原料選択のポイント
 三河湾や伊勢湾で獲れる良質なエビを使用します。手焼き製品などの高級品はエビの割合が高いです。 デンプンは、北海道産の良質なばれいしょから採れるデンプンを使用します。
○加工の原理
 えびせんべいはデンプンの膨らむ力を利用したお菓子で、デンプンの品質、 生地の水分などが製品の品質を左右します。
●製造工程図
自動機械焼きで油揚げをする例を挙げる。
原料  エビを洗浄後、皮をむき、すり身とする
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練り上げ・生地調整 馬鈴薯デンプン、調味料等を混合する
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成形 丸い型に詰め、成形する
 ↓
焼成 焼き板に挟んで焼く
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バリ取り
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水分調整 常温に置き、水分の調整を行う。
 ↓
油揚げ フライヤーで揚げる。
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油きり
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調味 味付けを行う。
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乾燥
 ↓
選別 割れたものを選別する。
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包装
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検査
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出荷
○実際の製造過程
 原料は、当日水揚げされたエビ、もしくは冷凍エビを使用します。 手焼き製品では、むき身の生エビを使用し、高級品は丸エビのまま使用します。エビのすり身とデンプン、 水の配合、味付けなどは製品によりまちまちですが、一例を挙げると、エビ10%、デンプン60%、 水約30%の割合となっています。高級品はエビの割合が高くなっています。 これらを練り機で時間をかけずに攪拌します。 手焼き製品においてはこの練りが風味を決めるため、熟練の技術が必要となります。
 次に、一定量の生地を丸い型に詰めて成形し、電熱の焼き板に乗せます。 製品によって温度が異なりますが、150~180℃で、短いものは、20~30秒、 長くて2~3分で焼き上げます。二度焼きの製品の場合は、160℃前後で1分程度焼いた後、 切断、50℃前後で3時間程度乾燥し、180℃前後で1分程度焼きます。 手焼きにおいては、ちょうど良い厚みになるように鉄板を絞めて焼くため、熟練の技術が必要となります。
 続いて油揚げをする場合は、焼いたせんべいを円筒状のふるいに入れ、割れた小片、バリ等を落とします。 一定量をフライヤーに投入し、180℃で50~60秒揚げます。 その後、遠心分離型の振動式脱油機で油切りを行い、塩やシーズニング、調味料で味付けします。 最後に80~90℃の乾燥機で50~60分乾燥させ、調味料のべたつきをなくします。
 機械自動焼きの場合、製品が出来上がるまでの時間は約2~3時間ですが、手焼きでは約5~6時間かかります。
練り上げ
練り上げ
焼成
焼成
バリ取り
バリ取り
調味
調味
○製品の形態・包装等
 一般的にはそのまま袋詰めされますが、割れ防止と見栄えを良くするためトレーに入れる場合があります。 品質保持のため、アルミ蒸着の包装や窒素ガス充填を行う場合もあります。
○使用する副原料
 エビ、タコ、海苔、青海苔、アサリ、アーモンドなどが飾りとして使用されます。 海苔、胡麻、ワカメ、牛蒡、青紫蘇、梅、山葵、いか墨、唐辛子、玄米などが練り込み原料として使用されます。
○食べ方
 お茶請けとしてそのまま食べます。
伊藤雅子(愛知県産業技術研究所)

全国水産加工品総覧  編集委員会編
監修 福田裕、山澤正勝、岡崎惠美子 A5判、638頁、¥7,500(本体)+税 発行所(株)光琳
 この本は水産総合研究センターが主催する水産利用関係試験研究推進会議において、刊行することが合意され、都道府県の試験研究機関関係者など約150名もの専門家により執筆されたものです。
 さらに詳しく知りたいなど、ご興味がある方は、この本を是非ご覧になって下さい。
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