所長あいさつ
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 わが国は世界でも有数な漁場を周辺の海域に抱え、豊饒の海から得られる豊かな幸を利用して、文化的にも経済的にも発展を遂げて参りました。しかし、近年、地球温暖化等の大規模気候変動や大型クラゲの発生など、海洋を巡る環境の変化から豊饒の海の将来が懸念されているところです。中央水産研究所では、黒潮流域とその周辺海域において、マイワシなどの浮魚資源やアワビ・アサリなどの貝類資源について、海洋生態系の理解を基礎として、資源変動機構を解明するための研究や海洋データを解析して海洋環境を予測するための研究を行っております。また、アユなどの内水面資源についても、生態系の研究を通して資源増殖や環境の保全・修復技術の開発などを推進しています。このような研究を通じて、海洋および内水面から得られる豊かな幸を未来へと受け渡すための取り組みを行っています。

 一方、世界的な水産物需要の拡大による水産物の買い負けや、水産物を含めた食物自給率の低下など、水産物を巡る内外の状況は厳しさを増しています。中央水産研究所では、全国的な視野のもとで、水産物の需給動向、国内外の水産政策に関する研究、漁業経営および水産物流通システムに関する研究、さらに安心・安全で高品質な水産物を確保する技術や高付加価値水産物の生産技術に関する研究を通して、水産物の安定供給を確保するために努力しています。

 また、近年分子生物学的な研究手法や遺伝子解析技術の進展には目覚ましいものがあり、水産研究分野においても、水産資源管理、海洋環境保全、増養殖、水産物の安全・安心の確保など、ほぼ全ての研究分野でゲノム情報を活用した研究開発が進められています。中央水産研究所では水生生物のゲノムの構造・機能に関する基礎的な研究を推進するとともに、遺伝子組み換え生物に関するカルタヘナ法に基づく検査機関としての役割を果たすと同時に検査手法の開発についても研究を行っています。

 このように中央水産研究所では、(独)水産総合研究センターの地域研究所として、また全国対応研究機関として、都道府県の研究機関の方々と連携して、「水産物の安定供給の確保」、「水産業の健全な発展」を実現するための研究を行っておりますが、今後もなお一層努力してゆく所存でありますので、皆様のご理解とご支援を宜しくお願い申し上げます。

平成22年 4月