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漁業組合範例 (第二次)
農商務省水産局,1914(大正3)年,554p,23cm.
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 大正3年5月1日現在、全国の漁業組合の中で比較的成績良好であるもの、漁村経営の事蹟について報告のあったものを、道府県順に掲載した資料です。前編と後編にわかれています。前編では「漁業組合ノ現況」「施設事業ノ概目」「優良組合ト其施設」のテーマで全国の概要がまとめられています。後編では「各組合ノ事蹟」として、成績良好な組合の報告が道府県順に掲載されています。大阪、神奈川、群馬、滋賀、長野、富山、沖縄は特に掲載すべき組合がなかったということで本資料には掲載がありません。埼玉、栃木、奈良、山梨の4県は当時漁業組合が未設置のため掲載がありません。
 書名に「第二次」とあるのは、明治34年の旧漁業法による漁業組合調査の報告『漁業組合範例』(明治42年刊)を第一次と数えているからです。
 明治時代の漁業組合制度は、明治19年の「漁業組合準則」、明治35年の「漁業組合規則」、明治43年の「漁業組合令」というように改正されながら確立していきました。本資料は「漁業組合令」が公布された後の漁業組合の資料です。改正前の「漁業組合規則」では、漁業組合の目的は漁業権の享有・管理の主体となることでしたが、明治43年に漁業法が改正され漁業権に抵当権が付与され、漁業組合は漁業権の享有・管理のほか共同施設事業もおこなうことができるようへと改正されました。共同施設事業は明治44年の農商務省訓令第1号にその大綱が示されています。例えば、漁港や魚揚場など共同で使う営造物の設置、魚礁や魚附林、共同販売、共同製造、共同購買、共同運搬等、暴風雨警報、遭難救助などです。本書では、各漁業組合の共同施設事業についての報告も掲載されています。