千葉県の漁業と気象の関係について、明治37年に書かれた調査報告です。特に、九十九里の鰮漁業の大不漁については項目立てして取り上げています。九十九里は江戸時代から鰮漁業が盛んな地域でしたが、明治中頃から不漁となり明治35年秋から翌春にかけて大不漁となりました。その原因について、多量の降水量、風向き・風力の変異、沿岸付近の海水の塩分稀薄など、特に通常北東風が吹くのにこの年は北風だったことで九十九里湾に冷水が流れ込んで不漁となったのではないかと言及しています。
なお、「漁獲と気象との関係」として、鰮、鰹、鮪、鯛、秋刀魚、鯖、蛸、鮑、牡蠣、アサリ、バカガイ、ヒジキ、海苔、食塩の豊凶年における気象変化図が掲載されています。