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水理生物学要稿:漁業基本
北原多作,岡村金太郎著. 岡村金太郎,1910(明治43)年,59p. 図版11p.,27cm.
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 明治時代後期に農商務省水産局は全国の漁業基本調査を計画して実施しました。その調査のため地方水産局の技員を対象に講習を実施しましたが、本資料はそのとき講習にあたった北原多作と岡村金太郎が講習のために作成した稿本を翌年私費で刊行したものです。
 本資料の中で「水理生物学ハ近ク成立シタル学科ニシテ海洋学生物学及ビ水理学等ヨリ成リ、主トシテ物理的並ニ化学的原因ノ水族ニ及ボス関係ヲ攻究スルモノナリ」と定義しています。また「漁業上諸般ノ現象ハ単ニ気象学、海洋学、水理学、生物学等単独ノ力ニテハ之ヲ知ルニ易カラズ此等諸学ノ力ヲ併セテ始メテ為スアルモノ多キ」ため「海洋調査ニ依テ得タル事実ヲ基礎トシテ水族ノ関係ヲ明ニスル」と書いています。漁業はさまざまな分野の学術調査や複合的な応用の上に立つことでさらに発展させられるという考え方でした。
 本資料の本文の最後は「Thulet氏日ク、海洋学の成効ハ巨万ノ資ヲ要スルヨリモ当事者ノ熱心ナル力ニ依ル所多シト蓋シ至言ト云フベシ」で締めくくられています。
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