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釣遊秘術釣師気質
石井民司(石井研堂)編著. 博文館,1906(明治39)年,775p,22cm.
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 石井研堂(1865-1943)が、釣遊のたびに書きためてきた多年の筆録をもとに、上中下三巻にまとめた釣遊記です。出版にあたり幸田露伴(1867-1947)と矢野龍渓(1851-1931)の協力があったと著者識の「凡例」にありますが、本書の「序」はその幸田露伴と矢野龍渓が書いています。
 上巻は「釣遊文草」と題し、1月から12月までの釣遊記46編収められています。中巻は「雑著」と題し、釣りや漁に関連する随筆などの雑著が19編収められています。下巻は「釣魚術略」と題し、釣具や餌の種類と使用法、天候や釣り場の話、釣り客の心得など、これから釣遊を始めようと思う人のための釣り入門となっています。
 また、研堂の釣遊に対する考え方が、下巻第九章「研堂釣規」に書かれています。釣りを満喫するための五箇条のようです。
「人は、遊ばんが為に職業に勉むるに非ず、職業に勉めしが為めに遊ぶなり。釣遊に、前後軽重の分別有るを要す」(人は遊ぶために働くのではなく、よい仕事をするために遊ぶのである。釣遊も度をこさず分別をもつこと。)
「単に、魚のみを多く獲んことを望むべからず、興趣多きを望むべし」(魚をたくさん獲ることを目的とせず、釣りの興趣を楽しむこと。)
「釣遊は、養神摂生の為めのみ。養神摂生に害あるは釣遊の道に非ず」(自身が不快に感じる釣りはしないこと。)
「金銭にけちなる釣遊は、却て不廉なる釣遊なり」(けちけちしないこと。)
「十分確信したる釣日和に非ざれば、出遊せず」(確信の持てる釣日和でなければ、出遊しないこと。)

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