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山陰落栗
柳楢悦. 御木本幸吉,1906(明治39)年,59丁,23cm.
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 海軍少将正三位勲二等柳楢悦(1832-1891)の十七回忌辰(明治40年1月15日)に合わせ、御木本幸吉が柳楢悦への謝恩の記念として、その遺稿の中から水産及び料理に関する部分を選び出版したものです。
 各種の遺稿のうち「山陰落栗」と題する全24巻の中の水産と料理に関する第1巻及び第18巻にあたる部分です。出版にあたり田中芳男が本文の校正をしています。本書には柳楢悦の自筆を写真石版した自序が掲載されておりますが、この中に「山陰のむかし枝折あととめて峯の落栗ひろひあつめむ」という歌があります。各地で食した飲食物を思い出しては書きとめて、尊き饗膳、賤しき食物、珍しい調理、田舎風のもの、現代風のもの、伝統的なものなどさまざま集まったと書いた序文と呼応しています。書名の「山陰落栗」はこの歌に由来するものと思われます。
 本書は2部構成となっており、前半は鯛鼈甲漬、飛騨鰤、鰻加賀焼など50種類以上の全国各地の水産物や水産加工品の紹介や解説、後半は「菜単百珍」と題して1月から12月までの月毎の会席料理の献立表です。献立は伝統的なものと現代風なものを加味して作ったといいます。

●前半部の「山陰落栗」に掲載されている水産物
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