『麑海魚譜』は明治16(1883)年3月から6月にかけて開催された第一回水産博覧会に出品するために、鹿児島県令渡邊千秋の指示により作成されました。「麑海」とは鹿児島の海のことで、掲載された魚種は325種、魚名には地方の呼称を採用しました。鹿児島県勧業課の白野夏雲が編纂にあたり、鹿児島の絵師木脇啓四郎と二木直喜が絵を描きました。明治16年に水産博覧会のために作成された初版は彩色画の和装本上下巻でしたが、本書は明治44年の再版で魚図はモノクロです。巻末に「麑海魚譜學名表」が添付されていて、その中に田中茂穂による附記が記されています。