畔田翠山(1792-1859)は江戸時代後期の和歌山藩士であり本草学者でした。名を源伴存といい、翠嶽、紫藤園、十兵衛とも号していました。翠山は和歌山を中心に動植物や地理、民俗などのフィールド調査をおこない『和州吉野郡群山記』『熊野物産初志』『紀南六郡志』など多くの著作を遺しました。
本書は文政10(1827)年に翠山によって書かれた総合的な水産動物誌で、明治時代になってから宍戸昌に見いだされ、田中芳男、河原田盛美、翠山の門人だった堀田龍之助等によって出版されました。
出版にあたり、文政10年に書かれた『水族志』10巻は、その分類方法を尊重しつつ10編に改訂されました。掲載された水族は本條257種、異種478種合わせて735種。異名を含めると1312種に及びます。なお、『水族志』ではありますが貝類は含まれていません