水産庁漁業調整第一課,1953(昭和28)年,83p.,25cm

 明治34年漁業法(旧漁業法)、明治43年漁業法(明治漁業法)施行当時、漁業の名称、漁獲物の種類は概ね漢字をもって表すことが励行されていました。そこで俗字を使ったり無理をして文字を造ることなどがなされ、辞書にも出ていないような魚名が当時の漁業権原簿等の資料には記載されています。ところが大正期頃から専用漁業などではつとめてこれらを平仮名で表すようになったようで漢字と平仮名の混用時代がありました。昭和24年に公布された新漁業法後は、公用漢字の制限や混用による混乱を防ぐ等の事情から、これらはすべて平仮名をもって表すことになりました。しかし、漢字名を忘れてよいかというと事務処理上は却って知っている必要が生じたため、水産庁漁業調整第一課では概ね使用される水族名を検出し漢字と仮名とを照合した資料「慣用魚名集」を作成しました。
 作成にあたって使用した参考資料は、「日本魚名集覧」(渋沢敬三著 生活社刊)、「専用漁業権水族名」(農林省水産局 謄写刷)、「有用有害水産物植物図説」(田中茂穂他 大地書院刊)、「瀬戸内委員会だより」(瀬戸内海漁業調整事務局)とあります。漢字と仮名の対応表の構成は、(1)漢字から引くもの(頭文字の画数順に配列)、(2)仮名からひくもの(50音順に配列)となっています。

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