熊本縣漁業誌
熊本縣農商課,1890(明治23)年,上下巻,27cm


 第3回内国博覧会(明治23年/東京上野)に向け、熊本県が県内の漁具漁法について調査、編集した漁業誌です。
 緒言によると、県下1市15郡のうち7郡が海に面し、そのうち生計の大半を漁業によっているものが70%であった。しかし旧慣例規を無視した乱獲により不漁が続いていたため、往時の漁具漁法を調査し漁の回復に向けた計画を立てたいと思っていたが、実現せずにいたところに、内国博覧会会場出品があり着手することができた、とあります。また、調査においては、漁の時期(季節)が調査時期と一致しているものは実地に実物を調査し、沿革慣習は老漁師の口碑(伝承)を聞き、概要をまとめたとあります。
 冊子は上下巻に分かれ、漁法をあらわしたモノクロの精緻な挿絵が挿入されています。
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