"サンマ"ってどんな魚?(サンマの生態)

サンマ
メダカ目・トビウオ亜目・サンマ科・サンマ属
学名 Cololabis Saira
地方名 
カド(三重県,伊勢湾)
サイラ(淡路、関西、紀州各地、志摩、長崎、土佐、阿波、丹後、鹿児島)
サイリ(摂津、伊勢、紀州勝浦)
サイレ(紀州各地)
サエロ(紀州三輪崎)
サエラ(紀州和深)
サザ(長崎、五島、壱岐、大村湾、対馬)
サヨリ(紀州和歌山、白崎、田辺、三河、三谷、富山)
セイラ(長崎、壱岐)
バンジョ(新潟、佐渡)
マルカド(鳥羽)
サダ(玄海)
サヨラ(宮津)

サンマは北部太平洋と日本海に分布していますが、サンマ科魚類は他に
ニシサンマ(Scomberesox saurus saurus):北大西洋に分布
ハシナガサンマ(Scomberesox saurus scombroides):太平洋、大西洋、インド洋の南半球に分布
太平洋ミニサンマ(Elassichthys adocetus):東部太平洋の赤道海域に分布
大西洋ミニサンマ(Nanichthys simulans):東部大西洋の赤道海域に分布
などがいます。

太平洋におけるサンマ科魚類の分布
日本水産資源保護協会1991より

産卵

 東北・北海道海域で漁獲されるサンマ(北西太平洋群)の産卵は、秋から始まり、翌年の春から初夏の頃まで続きます。主要な産卵場所は、秋生まれは常磐沖、冬から春生まれは黒潮およびその周辺海域です。日本海では、冬から夏にかけて、対馬から北海道沿岸にいたる対馬暖流域で産卵します。

サンマの卵は2mmくらいの楕円形で、約20本の付着糸を持ち、流れ藻などの浮遊物にぶどう状となって産み付けられ、1尾が1回2000粒位を数回産み付けます。受精卵は15℃では2週間ほどでふ化し、仔魚はすぐに小型の動物プランクトン幼生などを捕食します。

流れ藻に付着したサンマ卵
粘着糸によって浮遊物に付着する。
定置網等に産み付けられていることも多い。

ふ化直前のサンマ卵
卵内で目の色素や、体表面の色素が既にできている。

ふ化後2日目のサンマ仔魚
ふ化後1日で口が開き、エサをとるようになる。


北上(索餌)回遊と南下(産卵)回遊

秋から冬にかけて常磐沖で生まれた仔稚魚は、黒潮周辺で越冬した後、冬から春に黒潮および周辺海域で生まれた仔稚魚と共に春から卓越する黒潮に運ばれ、黒潮前線を越え常磐水域へと運ばれます。これらは夏になると、主食である動物プランクトンの豊富な北海道~千島沖へと回遊し、急速に成長します。

北方の索餌水域で脂肪を蓄積したサンマは、8月半ば頃から南下回遊移ります。その後大型で成熟の進んだサンマから次第に三陸沖から常磐沖へと移動し産卵をはじめます。

ふ化後2日目のサンマ仔魚

ふ化後約1ヶ月たったサンマ仔魚

ふ化後約80日たったサンマ仔魚


サンマは南方の産卵場では20℃前後、北方の索餌域では10℃前後の水域で生活し、発育段階に応じて北上(索餌)回遊と南下(産卵)回遊を繰り返す魚です。

サンマの回遊
日本水産資源保護協会1991より

さんまの寿命

サンマは1年で32cm位に成長し、塩焼きサイズになります。
寿命についてはおよそ1年半位と考えられますが、現在研究中です。