奄美大島固有の魚“ヤジ”(リュウキュウアユ)の
保全に対するアンケート調査結果の報告

嘉徳川のリュウキュウアユ 2008.8.1 撮影 奄美大島の川には、独自の進化をとげたリュウキュウアユが生息し、島では“ヤジ”と呼ばれ、川の幸として古くより親しまれてきました。しかし、1980年代以降、野生のままの状態で生息してるリュウキュウアユは奄美大島のみで見られ、その数も激減していることから、絶滅が危惧されています。しかし、リュウキュウアユの保全を進めて行くためには、奄美大島を生活の場とされている住民の方々の理解が何よりも必要です。
 そこで、今回、奄美大島にお住まいの方々がリュウキュウアユに対して持たれている価値観およびその価値観の醸成に影響する要因について把握することを目的に、以下のアンケート調査を行いました。調査では、鹿児島県奄美市および大島郡にお住まいの20歳以上の方々を対象に、300票のアンケートを配布し、86票(大島郡宇検村・龍郷町 15票、奄美市住用町 17票、奄美市名瀬・笠利町 47票、無回答 7票、回収率28.6 %)のご回答を頂きました。
 以下、アンケート調査の結果についてご報告します。これらの結果は、今後、リュウキュウアユの保全について検討してゆく際の資料として活用させて頂きます。

Q1.あなたはヤジをご存知でしたか。

Q2.奄美大島では、これまで豊かな森、川、海の自然環境が維持され、独自の進化を遂げたアユの仲間ヤジが、唯一、生き残ってきました。こうした現在の状況を十分にご理解いただた上で、全く仮の話で恐縮ですが、「豊かな自然環境が失われ、奄美大島のヤジが絶滅してしまう」状況を想像してください。こうした状況にならないように、ヤジが生息できる自然環境を保全するために、奄美大島にお住まいになっている住民の方々から任意の募金をつのったとします。あなたはこの募金として、毎年一世帯あたり一年間にいくら支払ってもよいと思いますか。ただし、あなたの家計に毎年、寄付金額だけの負担がかかることを想定して下さい。(有効回答票:84票)

Q3.ヤジを守るための活動として,ヤジを観察したり,川の産卵場や沿岸の海の自然環境を改善するためのボランティア活動を募ったとします。あなたはこの活動に参加しますか。なお,ボランティア活動は,あなたの余暇に行うものであり,常に参加が強制されるものではないとお考えください。

Q4.募金額に0円,あるいは「ボランティア活動に参加しない」とお考えになった主な理由を,次のなかから1つお選びください。

Q5.あなたはヤジを将来の子孫に残して行きたいと思われますか。

Q11.奄美大島でヤジの養殖が成功したとします。あなたが養殖されたヤジの鮮魚1尾(50g程度)を購入しようとする場合,
(1) あなたはヤジ1尾の価格がいくらから安すぎて品質が悪いのではと疑い始めますか。(有効回答票:83票)

(2) あなたはヤジ1尾の価格がいくらから安いとお感じになりますか(有効回答票:82票)
(3) あなたはヤジ1尾の価格がいくらから高いとお感じになりますか(有効回答票:83票)
(4) あなたはヤジ1尾の価格がいくらから高すぎて決して買わないと思いますか。 (有効回答票:83票)

Q6.あなたはヤジのいる自然環境が,現在,子供の情操教育に役立っていると思われますか。
Q7.あなたはヤジの住む奄美の自然環境の中で暮らすことに喜びを感じますか。

Q8.あなたはヤジのいる自然環境が,観光資源として奄美大島にお住まいの方々の利益につながると思いますか。

Q9.あなたはアユ(ヤジを含む)の味が好きですか。

Q10.あなたはヤジが増えて漁獲が可能となった場合,ヤジ料理を楽しみたいと思いますか。

Q12.あなたの奄美大島の川での経験を教えてください(複数回答可)。(有効回答数:86票)

 ・水泳や水遊びをしたことがある 81 %

 ・魚とりをしたことがある 67 %
 ・カヌーやボート、ラフティングをしたことがある 43 %
 ・川のそばを好んで散歩したことがある 44 %
 ・沢登りをしたことがある 23 %
 ・川岸でキャンプをしたことがある 22 %
 ・水害の経験がある,あるいは水害の危機を感じている(感じたことがある) 20 %
 ・その他 3 %